マッチレビュー
優勝を掲げて臨む明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド EASTグループは日程の半分を消化する。FC町田ゼルビアがAFCチャンピオンズリーグエリートの準々決勝に進出したことによって日程が変更され、第11節がインターナショナルマッチウィークのこの日に先行開催されることとなった。そのため、東京は日本代表の佐藤龍之介選手と、韓国代表のキム スンギュ選手が不在。松橋力蔵監督は前節の東京ヴェルディ戦からスタメンを6選手入れ替える形で選手をピッチへと送り出した。
最後尾には今シーズン徳島ヴォルティスから新加入した田中颯選手がJ1リーグデビューのピッチに立つ。最終ラインは右から室屋成選手、アレクサンダー ショルツ選手、稲村隼翔選手、橋本健人選手が並ぶ。ボランチは常盤亨太選手と橋本拳人選手がコンビを組み、中盤の左には遠藤渓太選手、右には山田楓喜選手が入った。前線は佐藤恵允選手と仲川輝人選手の2トップでキックオフを迎えた。
また、この日のベンチには今シーズンFC東京U-18からトップチームに昇格した菅原悠太が初めてベンチ入りを果たした。
1stHALF—田中の好セーブ&遠藤の鮮やかな先制点
先に試合の流れをつかんだのは東京だった。試合序盤は後ろから丁寧にボールをつなぎ、ハーフレーンにうまく縦パスを差し込みながら前進する形が何度も作れていた。
前半12分、仲川選手の背後の抜け出しに橋本健選手が浮き球のパスを合わせる。背番号39は左足でゴールを狙ったが、これは相手ゴールキーパーの好守に阻まれてしまう。
この一戦に向け、佐藤恵選手は「相手最終ラインの背後を狙っていきたいが、その回数がどれだけ出せるかが大事」と話していた。その言葉どおり、チーム全体が背後を突く意識が高く、連続して代わる代わる相手の背後へ動き出すことでチームの勢いを加速させていく。
前半29分だった。こぼれ球を自陣で拾われ、エリア内で町田の藤尾選手をフリーにしてしまう。すると、このピンチで田中選手が藤尾選手のシュートを横っ飛びでビッグセーブを見せ、ピンチをしのぐ。

その3分後だった。遠藤選手が、左サイドに開いた位置でボールを持つと、中央にカットインして右足を振り抜く。ボールは雨で濡れた芝を滑るように走り、佐藤恵選手の足元をすり抜けて鮮やかにゴールネットを揺らした。
強度の面で相手に一歩も引かず、自分たちの持ち味を発揮してチャンスを作りながら試合のペースを握る。そのまま1点をリードして後半へと折り返した。

2ndHALF—ケイン2発で相手を突き放しクリーンシートで勝利
後半は町田が先に動く。ハーフタイムでフレッシュな選手を入れ替え、ギアを一段上げてくる。徐々に守勢に回る時間帯が増えていくなかで、東京は仲川選手に代えてマルセロ ヒアン選手をピッチへと送り出す。この采配がズバリと当たった。
後半16分、ヒアン選手が敵陣で守備に奔走して生まれた相手のバックパスを佐藤恵選手が見逃さずにエリア内で奪う。ゴール目前まで迫ると、冷静に左足でゴールネットを揺らした。宣言通りの一発で、リードを2点に広げた。

佐藤恵は止まらない。後半33分には右サイドを突破してPKを獲得すると、自ら決めてダメ押し点を挙げた。その直後、東京ベンチは遠藤選手、山田選手、室屋選手に代えて野澤零温選手、尾谷ディヴァインチネドゥ選手、小泉慶選手を送り出す。
そして後半42分、佐藤恵選手に代わって菅原選手がJ1リーグデビューを飾った。そのファーストプレーでアカデミー同期の尾谷選手にスルーパスを通すなど、らしいプレーも披露した。
町田GIONスタジアムに眠らない街の大合唱が響き渡り、町田との2連戦はまず青赤が3-0で先勝した。次節は、味の素スタジアムで“シーズンダブル”を懸けてふたたび町田を迎え撃つ。

松橋力蔵監督インタビュー

Q、本日の試合の振り返りをお願いします。
A、非常に素晴らしいゲームをしてくれたと思います。ただし、すぐに同じくFC町田ゼルビアとの対戦がありますので、まだ前半が終わったぐらいのつもりで、また後半戦に向けて準備をしたいと思います。
Q、前半からかなり背後への意識が強く、次々に選手が飛び出していましたが、その狙いと評価を教えてください。
A、もちろん背後を狙わないことはないというか、ゴール方向にどのようにプレーをしていくかという大前提があります。あとは相手の構造をどのように捉えて、そこを狙っていくかというところは、うまく出せたと思います。ただ、最終的な配球の質というのはまだまだ課題が多いと思います。
Q、今シーズン、右サイドで起用されることが多かった佐藤恵允選手が、今日はフォワードとして出場しました。彼の評価はいかがですか。
A、昨シーズン、やはり前二枚のところで出場する機会が多く、試合を重ねるなかで、彼が本来持っているものにプラスアルファできるようなパフォーマンスを彼自身でしっかりと獲得してくれました。今では前線であればどこでも、うまくそのポジションのタスクをしっかりとこなしてくれる選手になってくれましたし、加えて得点もしっかりとれる。そこに対しての思い切りや、迷いがないところも彼の良さでもあります。
ただ、やはり彼も同様に、ボールをしっかり握れる場面であったり、チャレンジしている場面の裏側にはボールをロストしてしまうところがあるので、ボールを握るのかチャレンジするのか、判断の質はもっと上げなくてはいけない。そこが上がればさらに彼の良さは活きると思っています。
Q、尾谷ディヴァインチネドゥ選手に続いて、今日は菅原悠太選手がプロデビューしました。彼にはどのような期待をしていますか。
A、まずは、守備は本当にハードワークしなければいけないよね、と。そのうえで自分の良さを思い切りプレーして発揮してこい、見せてこい、と送り出しました。そういった場面はあまりなかったと思いますが、彼もピッチに立つことができて、また次の大きな活力になってくれればいいと思います。また、実際に体感したものがこれから自分にどう役立っていくのかということを、しっかりと考えながら日々のトレーニングを積み上げ、また出場機会があった時にその力を存分に発揮してくれればいいと思います。非常にトリッキーで、相手の裏をかくようなプレーが得意な選手なので、そういう場面が見られれば良かったですが、また次に期待したいと思います。
Q、ゴールキーパーの田中颯選手が、キム スンギュ選手がいないなかで出場しましたが、前半に非常に良いセービングもありましたし、この雨のピッチでのつなぎの部分も含めて、どういう評価でしょうか。
A、本当に素晴らしいプレーをしてくれたと思います。ゴールキーパーとしての大きな役割をしっかりこなしましたし、攻撃の第一手としてのつなぐというところは、トレーニングやトレーニングマッチを含めて彼がこのクラブに来てすぐに、そういう部分の力は存分に発揮してくれている場面が多かったので、何も不安なく、彼も自信を持ってプレーできたと思います。それはもう立ち姿からも感じていました。彼の日々の探究心であったり、追求していく、努力する姿勢というものが今日の結果に表れたように思います。
Q、今日は攻撃も守備も前向きにいったことがポイントだと感じました。選手たちのプレーについてどう感じられましたか。
A、今回に限りませんが、我々が町田戦に向けて準備しているところで、我々の選手はスイッチの意識が高かったと思います。精度のところはまだ必要ですが、それが良い具合に出ている部分ということが、全体の前向き、前進する、背後を狙う、そういったプレーを生み出した要因だと思います。
Q、町田との2連戦ですが、ホームで迎える次戦への意気込みをお願いします。
A、もちろん、今日勝ったことによって、また次のゲームに対してのお互いのモチベーションというものは大きく変わって強いものになっていると思います。ただ、冒頭に申し上げた通り、今日は前半で終わったというぐらいの気持ちです。もちろん3-0でリードしているという状態ではなく、もう0-0で当然のように入るということ。その位置付けを絶対に間違えてはいけないな、と。やはり難しいゲームになると思いますし、そこをどう乗り越えていくかというところが、我々がめざすことに対してはすごく大きなポイントになります。ホームの地の利も生かして、今日もナイトゲームの雨でも多くのファン・サポーターが後押しをしてくれたので、次はホームでより大きなサポートをしていただいて、次の試合でも勝点3をめざして頑張らないといけないと思います。
選手インタビュー
佐藤恵允選手

Q、ご自身の1点目のゴールを振り返ってください。
A、プレスを受けると相手はバックパスを蹴るだろうと思ったので、そこは狙っていました。最初は中央にクロスボールを上げようと思ったんですが、味方がまだ入ってきていなかったので、角度はありませんでしたが自分で狙いました。枠に入ってくれて良かったです。
Q、PKを決めて追加点を奪いました。
A、自信を持って蹴りました。しっかり決めることができて良かったです。
Q、背後を突く動きや連動した攻撃が目立ちました。手応えはいかがですか。
A、今日は相手が嫌がるようなプレーを続けられたと思いますし、後ろからの組み立てもすごく良かったので、前線としても動きやすかったです。背後とライン間をうまく使いながら前進できたと思います。相手がどうこうというより、自分たちのプレーが良かったですし、自分たちが良いプレーをすれば、自然と相手も苦しくなるので、そこは続けていきたいです。
Q、球際や強度の部分でも上回っていた印象です。
A、相手も連戦の影響があったとは思いますが、それに関係なく、自分たちがまず強度の部分で上回ろうという話をしていました。セカンドボールの回収や1対1のところでも上回ることができました。今日は相手のやりたいことを逆に利用する形で守備をしました。うまく相手をコントロールしながらプレーできていたと思いますし、守備でもやりたいことがはまった試合だったと思います。
Q、日曜日にはふたたびFC町田ゼルビアと対戦します。
A、前の試合(東京ヴェルディ戦)で、負けてはいけない相手に負けてしまって、チームもファン・サポーターのみなさんもとても悔しい想いをしました。だからこそ、この試合も負けられない一戦でしたし、まずはしっかり勝てて良かったです。次に向けてまた切り替えていきたいです。昨シーズンも町田との2連戦でしたが、初戦に勝って次で負けてしまったので、今シーズンは気を引き締め直してしっかり2連勝したいと思います。
Q、明治安田J1百年構想リーグの前半戦を終えて上位で折り返しますが、ここまでをどう捉えていますか。
A、本当は単独首位で折り返したかったので、まだまだこれからだと思っています。優勝をめざして、ここから全勝するくらいの気持ちでやっていきたいです。
遠藤渓太選手

Q、今日の試合を振り返ってください。
A、前半から積極的に前に出て、自分自身も仕掛けることができたと思います。相手のサイドには特長のある選手がいましたが、そこを突破できたら面白いなと思っていたので、チャレンジし続けることができたことは良かったです。
Q、先制ゴールの場面を振り返ってください。
A、ファーに打つ選択もありましたが、ピッチも濡れていたのでニアに打ちました。意表をつく形というか、とにかく打つことに意味があると思っていましたし、それがゴールにつながって良かったです。
Q、その後の試合運びについてはどう感じていますか。
A、ピンチも数回ありましたが、初スタメンだった田中颯選手がしっかり対応してくれましたし、チームとして相手に大きなチャンスを与えず、ミスも少なかったと思います。非常に良いゲームだったと思います。ただ、次の試合では相手も対策してくると思うので、自分たちも気を引き締めて臨まないといけません。
Q、雨のなかでも多くのファン・サポーターが駆けつけてくれていました。メッセージをお願いします。
A、アウェーで雨のなかでも相手よりも大きな声援が聞こえてきましたし、本当に力になりました。勝敗に関係なく、あの応援が自分たちの背中を押してくれたことは間違いないですし、感謝しています。
田中颯選手

Q、今日の試合を振り返ってください。
A、重要な局面でFC町田ゼルビアと直接対決になったので、絶対勝点3を獲りたかったですし、チームとして結果も内容もポジティブな面が多く出たと思います。ただ、またすぐに連戦で町田と対戦しますが、違った試合になると思うので、しっかり引き締めてやらなければいけないと思っています。
Q、前半の藤尾選手のシュートを止めたシーンを振り返ってください。
A、結果的に止められたことは良かったですが、1試合を通して危険なエリアに進入されたり、相手に攻撃の機会を与えてしまうことは、1年間を通して見ると数字に出てきてしまうと思います。しっかり分析をして、自分たちの攻撃の時間を長くできるようにやっていく必要があるかなと思います。
Q、クリーンシートで終わる最高の結果になりました。
A、結果的に3点も入りましたし、パーフェクトな結果に思えるかもしれませんが、ピンチもあったので、本当に優勝をめざすのであれば、もっと突き詰めてやっていく必要があると思います。
Q、東京に加入して初めての出場と初めての1勝となりましたが、率直な想いを聞かせてください。
A、嬉しさがもちろんあります。優勝に貢献したいという覚悟でこのチームに来ましたし、これからもっとチームとして良くしていきたいです。
常盤亨太選手

Q、今日の試合、全体を振り返ってどうでしたか。
A、3-0という素晴らしい結果で終えられたのは良かったと思います。今週の練習で監督から、もう一度パスの本数を増やして相手を動かしてズレを作ってという提示があったなかで、全員が前半から関わりながらボールを動かしたことが、後半に効いてきて相手の足が止まってきました。それによって攻勢を強めることはうまくできました。あとはこの2連戦は守備が重要になってくると言われてきたなかで失点ゼロで終えられましたし、怖いシーンもほとんど作られなかったので、攻守に渡って監督が求めているものは発揮できました。良い試合運びができたと思います。
Q、中盤で首を振って、パスをもらいにいきますし、出足を早く潰しにいけていました。攻守のバランスの意識はどうでしたか。
A、中盤の位置で周りとつながりながらプレーすることが大事になると、今シーズンはずっと自分のなかで思っています。特に攻撃は周りと連携してワンタッチやツータッチでのプレーが増えればテンポも出てきます。そこは相手の立ち位置も味方も見ながらやりました。守備は、自分としてはもう少しできたかなと思います。この試合は自分のなかではエンジンがかかるのが遅くて、1試合空いたので入り方が難しい部分はありました。そのなかで、自分は守備からリズムを作る選手なので、良い守備から入ろうと修正できましたし、前半の最後から後半にかけてはエンジンもかかってきて全開でいけました。試合に入るところで集中しなければいけないという課題はありますが、全体を通しては尻上がりによくなっていきました。
Q、1-0で試合が進むなかで、3-0まで持ち込めたのは常盤選手のパフォーマンスが寄与するところが大きかったと感じました。次の試合も同じような展開にするために意識することはありますか。
A、今日は、セカンドボールを拾えれば二次攻撃、三次攻撃ができてチャンスの数が増えます。逆に相手に拾われたら押し込まれてパワーのあるプレーをされるのは分かっていたので、そこで自分がセカンドボールなどの予測や球際で潰し切れるかというのは自分でも手応えがあります。今日の試合を踏まえて相手がどう出てくるか分かりませんが、もっとパワープレーでくることもあり得ますし、そうなるとセカンドボールの重要度もさらに増してきますし、そこは自分の一番の特長です。今シーズンの自分たちは攻撃的なチームですが、そのなかで自分たちの守備の時間にしない攻撃的な守備を意識しています。
Q、今日は雨にも関わらず、多くの東京のファン・サポーターが詰めかけました。
A、前節、東京ヴェルディにあのような形で負けてしまったにも関わらず、平日夜の雨のなかであれだけのファン・サポーターが詰めかけてくれて、90分を通して声を枯らして応援してくれてありがたいと感じました。選手全員が感謝の気持ちを持って、彼らのために戦うという姿勢が力に変わると思っているので、次の試合もともに戦っていきたいです。
菅原悠太選手

Q、J1リーグデビューとなりました。デビュー戦はどうでしたか。
A、いつチャンスがきてもグイグイいけるように準備していました。チャンスのシーンは、本当は打ちたかったですが、パスを選択しました。アシストがついたら嬉しかったです。
Q、チャンスシーンを振り返ってください。
A、自分で打つという選択肢は最後までありましたが、相手ディフェンダーがカットインのコースを防いできたのでパスを選択しました。
Q、この第1歩を次にどう繋げていきたいですか。
A、全然満足していないです。また試合に出られるように、そして結果を残せるように練習で積み上げていきたいです。


