REPORT 2026.3.22

3/22 東京V戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

マッチレビュー

「ヴェルディだけには負けられない」の大声援に迎えられて、青赤イレブンがウォーミングアップに入ってくる。そしてゴール裏からは「情熱をぶつけろ、優勝を掴みとれ!」という気持ちのこもったチャントが続く。首都クラブとして、そして優勝にふさわしいチームになっていくために絶対に負けられない、いや絶対に勝たなければならない試合だ。

“俺たちの味スタ”で行われるアウェイの東京ヴェルディ戦。勝点4差で首位鹿島アントラーズを追う東京にとっては、是が非でも90分間での勝利を手にしたい一戦となる。アウェイ3連戦の全勝を懸けた過密日程の3戦目。一歩ずつ確実に進化しているチームは、果たしてこの大一番でいかなるサッカーを披露してくれるのか。熱い気持ちと冷静な対応力が求められるゲームに向け、松橋力蔵監督は前節からスターティングイレブン6選手を入れ替えてピッチへと送り出した。

ゴールキーパーにはキム スンギュ選手を起用。最終ラインは右から室屋成、アレクサンダー ショルツ、大森理生、橋本健人の4選手が並んだ。ボランチは高宇洋選手が第2節浦和レッズ戦以来の復帰を果たし、橋本拳人選手とコンビを組む。アタッカーは右に佐藤恵允、左にはSAMURAI BLUE(日本代表)のヨーロッパ遠征メンバー入りした佐藤龍之介選手が入った。2トップには長倉幹樹選手に加えて、前節のジェフユナイテッド市原・千葉戦で途中出場からアシストを記録した野澤零温選手は今シーズン初めて先発に名を連ねた。

まさに総力戦。誰が出ても変わらずクオリティの高いサッカーを展開し、ピッチに立った選手が臨機応変に判断しながら攻守において主導権を握っていきたい。未来を切り拓くために一戦必勝の覚悟で臨むゲームは、14:03にキックオフを迎えた。

1stHALF—序盤はチャンスを作るもタイトな守備に苦しむ

序盤は東京が相手の出方を見ながら試合を進める時間が続く。3-4-2-1の東京Vに対して、4-4-2の東京がどの立ち位置が有効になるかを見極めながら、高選手が最終ラインに落ちるビルドアップや外回しのパスワーク、最終ラインからの機を見たロングボールなどで攻め手を探っていった。

しっかりと東京を研究してきた印象がある東京Vは、2トップに差し込もうとするパスを厳しく封じにきた。なかなか前線で基点を作らせてもらえない東京はシンプルに裏のスペースを突く形で打開を狙っていく。

前半19分に佐藤恵選手の抜け出しで惜しいシーンを作ると、続く同21分には右サイドでのつなぎからショルツ選手が縦パスを送り、力強く抜け出した室屋選手の折り返しが相手のオウンゴールを誘ったかと思われたが、その前にゴールラインを割っていたとしてゴールは認定されず。同27分には前線からの連動したプレスで相手のミスを誘い、高い位置でボールを拾った野澤選手が鋭いターンから前を向いて右足シュート。これはゴール右に外れてしまったが、東京が一つの形にとらわれることなく攻守をシームレスにつなぎながら変化をつけていった。

鋭い攻撃を織り交ぜていこうとする東京だが、相手もネガティブトランジションへの意識が高く、東京のカウンターにしっかりと対応。一進一退の攻防のなかで思いどおりに前を向いたプレーを許してもらえない時間帯が長くなる。

守備面では決定機を作らせない集中力を見せているだけに、相手のタイトな守備を切り崩す攻撃を見出していきたいところ。前半はお互いに球際の激しさに気迫を見せながらスコアレスのまま終了。勝負の行方は後半に委ねられることになった。

2ndHALF—猛攻を見せて決定機を作るも決め切れずPK戦で敗戦

相手の対策を上回る変化を加えていきたい後半。「今日は負けられない日だ」という青赤ファミリーの大声援に向かって攻めることで、さらなる気迫を前面に押し出しながら敵陣に襲いかかりたい。

後半開始早々、いきなりビッグチャンスが訪れる。右サイドに抜け出した室屋選手から佐藤恵選手がつないだボールがペナルティエリア内でこぼれ、ファーサイドの野澤選手がフリーでシュート。しかし、この右足キックがゴール左に外れてしまい、絶好のチャンスを逃してしまう。

良い守備から良い攻撃につなげたい東京は後半5分、佐藤恵選手が高い位置でボールを奪って縦へパスを出すと、ここに抜け出した野澤選手が倒されて直接フリーキックのチャンスを得る。だが、佐藤龍選手が右足で狙ったボールはゴールを捉え切れず、これも先制点に結びつけることはできなかった。

さらに後半13分、ショルツ選手が鋭いインターセプトで相手のビルドアップをカットすると、佐藤龍、長倉の両選手がつないでペナルティエリア内の佐藤恵選手へ。だが、ここで相手選手が身体を投げ出してカットし、ゴール寸前のところまで形を作りながらフィニッシュには持ち込めない。

守備陣も懸命のプレーでチームを盛り立てる。後半17分には自陣のこぼれ球をミドルシュートで狙われると、ディフェンダーに当たってコースが変わる難しい弾道をスンギュ選手が右手一本で弾き出すスーパーセーブ! 絶対に先制点を許さないという気迫のプレーでゴールを守り切った。

後半18分には両チーム同時に2選手を交代。東京は野澤選手、佐藤龍選手に代えて山田楓喜、遠藤渓太の両選手を左右のアタッカーとしてピッチへと送り出す。これに伴って2トップは長倉選手と佐藤恵選手の組み合わせに変更。新しいオーガナイズでゴールをめざすことになった。

続く同26分には高選手に変えてボランチに常盤亨太選手を投入。開幕から前節までスタメン出場を続けてきた常盤選手にとっては今シーズン初めての途中出場。ここで“ゲームチェンジャー”としても存在感を見せていきたいところだ。

前からの圧力を強めていく東京は、連動したプレスからチャンスを作る。後半30分には橋本選手のカットから鋭く左へ展開し、遠藤選手がドリブルで持ち込んで速いクロスを供給。だが、これはファーサイドから走り込んだ山田選手には合わず。さらに同32分には左サイドに抜け出した遠藤選手のグラウンダーのクロスボールを長倉選手が巧みなスルーで翻弄し、フリーで狙っていた山田選手が左足でゴールに叩き込んだ。だが、これはVARのサポートで遠藤選手の飛び出しがオフサイドと判定されてノーゴールに。立て続けに惜しいシーンを生み出したが、ここでも得点には至らない。

東京は後半41分には最後の選手交代を敢行。橋本健選手に代えて左サイドバックにバングーナガンデ佳史扶選手、佐藤恵允選手に代えて2トップの一角に仲川輝人選手を送り出し、勝負をピッチ内の選手に託した。

勝点3をめざして球際激しく前進する東京。ショルツ選手が果敢にオーバラップを図り、橋本拳選手が気の利いたポジショニングでバランスをとりながらチーム全体を押し上げていく。

5分間と表示された後半アディショナルタイム、猛攻を仕掛けていくチームをゴール裏の青赤ファミリーが「情熱をぶつけろ、優勝を掴み取れ!」という大声援で鼓舞し続ける。90+4分にはロングフィードからペナルティエリア内へ飛び出した室屋選手が倒されるもノーファウルの判定。試合を動かすことができない。結局、試合はスコアレスのままタイムアップ。決着はPK戦にもつれこむことになった。

4度目にして初めて相手ゴール裏で迎えることになったPK戦。一人目のショルツ選手、三人目の山田選手がストップされてしまった先攻の東京に対して、東京Vは全員が決めて2-4で敗戦。必勝を期したアウェイでの大一番は、勝点1にとどまる悔しい結果に終わった。

松橋力蔵監督インタビュー

Q、今日の試合の総評をお願いします。
A、非常に残念な結果になってしまいましたが、連戦のなかで選手たちは本当に頑張ってくれましたし、出場した全員が最後まで勝利をめざして戦ってくれたことには感謝しています。結果が伴わなかった分、ネガティブな部分がたくさん見えるかもしれませんが、しっかりと我々が準備してきたことを選手は意識してプレーしてくれました。選手のコンディションがもう少し良い状態であれば、さらに良いものを見せられたのではないかと感じています。ただ、この試合で敗れたことは非常に悔しいです。この悔しさを次節につなげられるよう、また準備していきたいと思います。

Q、前半は厳しい展開でしたが、後半は押し返しました。ハーフタイムにどのような指示をしたのでしょうか。
A、前半は我々がきちんと準備してきたものを意識する部分もありつつ、その裏返しの部分で相手の攻撃に良いリズムを作らせてしまった部分がありました。また、自分たちが準備してきたどう前進していくかというところで、出しどころが全部孤立してしまうような状態で、ゴールへ向かう背後への動きやそこへの配球の質など、いくつかアクションはあったもののボールが到達しない。そういう技術的なエラーが重なった部分もあったことで、苦しい展開になりました。ハーフタイムには、こういう状況でもガラッと目の色を変えて別のチームのように躍動しなくてはいけないと。そこはゲームチェンジャーも含めて達成できた部分はありつつ、最後にゴールを割れなかったのは非常にもったいなかったと思います。

Q、PK戦での敗戦についてはどのように受け止めていますか。
A、もちろんできる準備はしなくてはいけないですが、PK戦ではこれまではずっと勝ってきていましたので、こういうこともあると受け止めています。

Q、ネガティブな部分が目立つとおっしゃっていましたが、逆に今日の試合でポジティブに感じたのはどのような部分でしょうか。
A、準備してきたことを選手がしっかりやろうとしていた意識と、チームとして目線が合っていた部分は非常に良かった部分で、そこはポジティブだと思います。あとは後半に自分たちの流れを作りながらプレーできたこと。出ている選手はコンディションが万全ではないなかでも、90分間諦めずにプレーしてくれたこと。交代で出た選手もそれぞれの良さを発揮してくれたこと。そこはポジティブだったと思います。

Q、90分間で決め切れなかった部分についてはどのようにお考えでしょうか。
A、どうやって決め切るかという突きつめないといけないところは、これまでも常に、それは勝っても負けても必ずあることなので。こういうゲームになってしまいましたが、連戦のなかで勝ち切るという強さを見せたかった部分は当然ありますし、そこにまだ行きついていないという現実はしっかり受け止めなくてはいけない。それに対して我々に何が不足しているのかを分析して、また次に向けて準備していきます。ただ、僕は今日の選手たちを見て、彼らに託したこのゲームでの姿勢はポジティブに捉えて、ここからどう前に進めていくかが重要だと考えています。

選手インタビュー

室屋成選手

Q、試合を振り返ってください。
A、勝たなければいけない試合でした。内容的には自分たちが多くのチャンスを作れていました。特に後半は相手のチャンスもほとんどなかったので、なんとか1点決められればという試合でしたが、それができなくて残念です。

Q、前半はパスの出し先が制限されていて、前線に起点が作れていない印象でしたが、どのような部分が難しかったのでしょうか。
A、相手が3バックで前からきていたので、自分が高い位置に入ったり、フォワードのような位置に入ることで長倉幹樹選手が空いたスペースに入ったりして、なんとかスペースを生み出そうとしていました。長倉選手にボールが入った後に、いつもならもっとうまく展開できる場面で少しボールがつながらない場面も多かったです。そういったショートカウンターの部分で、もう少し精度高くできれば良かったと思います。後半は自分たちでボールも支配できてチャンスも作っていたので、そこはポジティブに捉えていますが、今日は結果がすべてだったので負けたら何も意味がないので、本当に残念です。

Q、後半に良くなった理由はどのような部分でしょうか。
A、前半からスペースを生み出す動きは意識していましたし、相手のウイングバックが前にきていることは分かっていたので、自分たちが低い位置でつなぎながら相手を動かそうとしていました。相手が90分間それをできるわけではないので、そこで剥がしながら前半もやっていました。それがあったので相手が5バック気味になって、後半にはスペースが空いてきて相手もプレスをかけられなくなってきていました。そういう面では試合運びは問題がなかったと思っています。

Q、こういう試合で勝ち切るために必要なことは何でしょうか。
A、やはり少ないチャンスを決め切ることだと思います。今日もチャンスはありましたし、悲観するような内容ではないので、ポジティブに次につなげていきたいです。

Q、ファン・サポーターのみなさんが試合前から熱量のある応援をしてくれていましたが、それは伝わっていましたか。
A、もちろん素晴らしい雰囲気を作ってくれていましたし、だからこそ自分たちが勝てなかったのはすごく申し訳ないと思っています。ただ次は自分たちのホームで試合ができるので、その時にしっかりリベンジしたいと思います。

Q、次の試合まで少し期間が空きますが、次節に向けてどのような準備をしていきますか。
A、連戦で疲れている選手もいると思いますし、まずはしっかりとリフレッシュして、もう一度こういう悔しい想いをチーム全体で共有しながら、何ができて何ができなかったのかを整理して、次のFC町田ゼルビア戦ではもっともっと良い状態で臨めるようにしたいです。

大森理生選手

 Q、試合を振り返っていかがですか。
A、全体としては悪くない出来だったと思いますが、自分としては悔しい部分もあります。特に何度か相手にチャンスを作らせてしまったところは反省しています。 

Q、ビルドアップの部分で難しさはありましたか。
A、高宇洋選手のところでボールを持った時に、ボランチと最終ラインが捕まっていて、その奥にスペースが空いている状況は見えていました。ただ、ローテーションやポジションどりでうまくスペースを作れず、全体的に相手に捕まってしまっていました。普段とは違う形になっていたので、もう少し割り切ってテンポ良くボールを動かしていけばよかったと感じています。 

Q、チームとしてのボールの持ち方についてはどのように考えていましたか。
A、横パスを入れた時に相手にはめられるリスクを感じていたので慎重になっていましたが、逆にテンポ良く動かしてポジションをとり直す方が、相手はリアクションになるので有効だったかもしれません。 

Q、後半にかけて改善された部分はありますか。
A、相手が前からきていたので、一度ひっくり返すことを意識していました。実際にロングボールで前線まで運べたシーンもありましたし、時間が進むにつれて相手も疲れてスペースができてきたことで、自分たちも中央を崩すプレーが増えてきました。そこは改善できた部分だと思います。 

Q、攻撃陣への影響についてはどう感じていますか。
A、前半は攻撃の選手に少しストレスをかけてしまったと感じています。なかなかボールを触らせてあげられなかったので、そこは自分の反省点です。 

Q、この試合をどう勝ちにつなげるべきだったと感じますか。
A、やはり最後のところで仕留め切る力が必要だと思います。こういう試合を勝ち切れるようにならないと、頂点をとるチームにはなれないと感じています。 

Q、無失点だった点についてはどう評価しますか。
A、無失点で終われたことは大事なことですが、今日の試合は勝たなければいけない試合でした。90分で勝ち切りたかったという想いが強いです。 

Q、初めての東京V戦を経験してどうでしたか。
A、結果として負けてしまったので悔しいです。内容や自分のプレー以前に、このクラブの選手として勝たなければいけない試合でしたし、そこはファン・サポーターに申し訳ない気持ちがあります。 

Q、今後に向けての意気込みをお願いします。
A、ここから上に食らいついていかなければいけないですし、またFC町田ゼルビアとの連戦もあります。自分たちにとって大事な試合が続くので、しっかり反省して切り替え、チーム全体で次に向かっていきたいと思います。