マッチレビュー&プレビュー
前節・川崎フロンターレ戦のレビュー
アウェイで行われた多摩川クラシコは、青赤の進化と成長を強く印象付ける一戦となった。
開幕からの2試合をPK戦の末に勝利して迎えた川崎フロンターレ戦、チームで統一した共通認識は“勝点3”だった。90分間での勝利をめざして試合に臨んだ選手たちは、キックオフ直後からアグレッシブなサッカーで相手を圧倒していく。
開始早々にアレクサンダー ショルツ選手のロングフィードからマルセロ ヒアン選手がビッグチャンスを作り出すと、その後も前線からの圧力を強め、連動したプレスを仕掛けて相手にチャンスを作らせない。ショートカウンターとポゼッションを織り交ぜながら何度も相手ゴールに迫っていった。
その攻撃が実ったのは前半18分だった。左サイドでボールを受けた遠藤渓太選手がペナルティエリアへロングフィード。これを長倉幹樹選手が競り合い、こぼれ球を拾ったヒアン選手が右へ持ち出して右足でネットを揺らし、東京が先制点を奪う。
しかし同31分、一瞬のズレを突かれて右サイドバックの山原選手をフリーにさせてしまい、カットインから鮮やかに決められて同点に。開幕から2試合がともに1ゴールだったこともあり、この試合では90分間での勝利に加えて複数得点もテーマに掲げていた東京。試合を振り出しに戻されたあとも、攻守をシームレスに機能させて主導権を握り、2点目をめざした戦いを続けていく。
そして前半38分、青赤に待望の勝ち越しゴールが生まれる。最終ラインの稲村隼翔選手から横パスを受けた常盤亨太選手が鋭く縦に差し込むと、ポストに入ったヒアン選手を基点に右サイドへ展開。佐藤恵允選手が内側を駆け抜けた室屋成選手にパスを送り、角度のないところから背番号2が右足で強烈な一撃! ニアサイドを撃ち抜いたキャプテンの一発で青赤が一歩前に出た。
後半も攻守にわたって積極的なサッカーを披露し続け、川崎にほとんど攻撃の形を作らせず。試合終盤まで集中した戦いで相手を封じ込んでタイムアップ。狙いどおりの複数得点、そして90分間での勝利を手にして、見事に開幕3連勝をマークすることに成功した。
今節のプレビュー
開幕4連勝をめざして迎える柏レイソルとのホームゲーム。ここまでの流れをしっかりとつなぎながら、目の前の試合に集中して臨むべき一戦となる。
今シーズン初の“勝点3”、そして初の複数得点を実現した前節の川崎フロンターレ戦。1失点は喫したもののチームとして攻守にアグレッシブな姿勢を見せて主導権を握り続け、内容に結果が伴う試合を実現することができた。
特別大会で初めて先発メンバーに入り、攻守に抜群の存在感を見せた橋本拳人選手も「同点にされたあとも沈むことなく追加点をとることができたのは、チームとしての成長の証。ビッグチャンスも何度か作れていたので、もっとチャンスを増やしながら得点を重ねていきたい」と前を向く。サッカーというスポーツの特性上、一瞬のエラーは事故のような失点は起こり得る。“勝点3”を積み上げていくためには、今後も常に複数得点を奪っていくことが大きなポイントになるだろう。
川崎戦は名実ともに快勝を収めたが、松橋力蔵監督にも青赤の選手たちにも全く緩んだ空気はない。柏戦を翌日に控えた指揮官は、「これを続けていくしかない。常にチャレンジする姿勢を持って臨む必要があるし、盤石だと思ったり、満ち足りていると感じたりすることが一番危険。常に求めるものはたくさんありますし、ピッチの上だけでなく、私生活も含めて、そこを突き詰めるための日々をどれだけ送れるか。選手たちにもそこを強調していますし、高みをめざしていく雰囲気を持ったトレーニングはできていると思います」と気を引き締めながら手応えを口にする。
チームとして『+1』の意識が強まっているところは見逃せない。『One more GOAL』の姿勢で常に追加点を狙うだけでなく、一人ひとりが走力を高めることで、11人での戦いを12人、13人に感じさせるようなサッカーを実現しようとしている。連動したプレスで球際激しい守備を見せ、攻撃に転じれば一気呵成に相手ゴールに襲いかかる。そういったベースができつつあるのも、今シーズンの“力蔵トーキョー”が持つ強みの一つ。相手に対応されても、それを上回るようなファイトと対応力で流れを引き寄せたいところだ。
『+1』の合言葉はチームだけでなく、明らかに選手の意識も変えている。開幕から3試合連続スタメンの常盤亨太選手は「相手にとって一人多いと思わせるくらいの運動量を出せれば、自ずと試合は支配できる。それは攻守両面において意識していますし、+1じゃなくて、+2、+3にできればもっと圧倒できるはず。そこは監督からのメッセージでも強烈に出ているので、全員が意識してやれていると思う。自分の良さは運動量の部分が大きいし、周りの良さを引き出すことでもあるので、自分が周りの選手にとっての+1に常になれれば。一番強いチームじゃなければ優勝できないし、そのためには強い個人が集まっていなければならないので、自分もそういう選手になっていきたいし、周りの分までカバーできるようになりたい」と高い意識を感じさせるコメントを残している。
対する柏レイソルは、昨シーズンの明治安田J1リーグで2位に入りながら、今シーズンの特別大会では開幕から3連敗中。ゴール期待値やチャンスビルディングポイントではリーグトップの数字を記録しながら、結果に結びついていない状況にあるだけに、連敗脱出に向けて気迫の戦いを見せてくることは想像に難くない。結果を出せていないとはいえ、一切の油断を許してくれない相手であることに変わりはないだろう。
4連勝をめざす東京としては、まずどうやって主導権を引き寄せていくかがポイントになる。柏も東京と同じく積極的なプレスを軸とするチームだけに、相手の出方を見ながらポゼッションとシンプルな攻撃を使い分けてゴールを狙う見極めが重要。臨機応変さを出しながら、時間帯に応じた試合運びの巧さを見せていなければならない。そして前節で複数得点、90分間での勝利を手にしたなかで加えていきたいのが、“クリーンシート”での勝利だ。守護神のキム スンギュ選手は「今シーズンはまだ無失点に抑えた試合がないので、次は完封したい。一つずつ勝っていかないと上には行けないので、3連勝のことは忘れて、次の試合が決勝戦だと思って準備をしていきます」と古巣との一戦への覚悟を語った。
もっとうまくなりたい、もっと強くなりたい──。その想いが未来を切り拓いていく。試合内容も結果も、継続して一つずつストイックに積み上げていくしかない。それが“優勝にふさわしいチーム”になるための唯一の手段だ。本当に強いチームになっていくために、青赤イレブンが一戦必勝の誓いを胸に、味の素スタジアムのピッチに立つ。
松橋力蔵監督インタビュー

Q、選手を見ていると、“もっと強く”というような気持ちが出ている選手が多くいると感じます。
A、常にトレーニングのなかで求められるものに対して、自分の持っているすべてのものを100パーセントで発揮してくれています。その全体像が一人ひとり合ってきたなかで、高い意識を持って日々の練習から取り組んでくれています。本当にこれまでよりも徐々に、“高みをめざしていく”という雰囲気を持ったトレーニングができています。
Q、「優勝にふさわしいチームに」と常に話していますが、雰囲気やサッカーの内容も含め、ベースという部分はできてきたと思います。
A、継続していくことで満たされるものはないですし、これでOKというところはありません。盤石な状況や満ち足りている時が一番危険だと思っています。常に求めるものはたくさんあり、それを突き詰めるために日々をどう送るかが重要になります。それはピッチ上もそうですし、自分たちの私生活もそうだと思います。
Q、柏レイソルは3連敗と苦しんでいます。今シーズンの柏をどのように見ていますか。
A、 (3連敗という)数字は全く気にしていません。当日の柏に対して、自分たちがしっかりと彼らを上回っていく、ということが大事になってくるので、今回こそ失点ゼロで90分で決着をつけ、連勝をめざしてやっていきたいです。
Q、柏は連敗している状況なので、絶対にここで勝つぞという気持ちで試合に臨んでくると思います。
A、結局は飢えている方が強いとは思います。勝っていることで欲を満たせることはなく、自分たちは何かに到達しているわけではないので、自分たちの目標というものに向かい、やっていかなければいけないと思っています。常に貪欲に、飢えていかないといけないと思います。
選手インタビュー
佐藤恵允選手

Q、川崎フロンターレ戦では、アシストも記録し、決定機にも絡むなど状態が上がってきているように感じます。開幕から3試合を終えて手応えはどうですか。
A、徐々に良くなっているし、1節、2節と比べて3節目がコンディションもプレーも一番良かったです。ここからまたどんどん良くなっていくイメージはあるし、右サイドで室屋成選手と組んでいますが、その関係性もどんどん良くなってきています。結果的にそのサイドで得点がとれたということは、すごく自信にもつながります。
Q、アシストの場面では、相手のマーカーが足を出してきたところを、浮き球を選択して通しました。とっさの判断も状態が良い証でしょうか。
A、あの場面では顔も上がっているし、やはり一番は余裕が出ていることです。あんなパス、自分はこれまでやったことないですから(笑)。相手が二人しっかりと寄せて来ているなかで、室屋選手がフリーで入ってきた時に、相手が足を出してくるだろうという予測もしながら浮き球を選びました。結構余裕を持ってプレーできたのは、あのアシストに繋がったと思います。
Q、決定機は決めておきたかったですね。
A、上にふかしたシーンですね。あれは少し力が入り過ぎました。もう少しリラックスした状態で打ちたかったですね。昨シーズンにナオさん(石川直宏CG)にアドバイスをもらっていた部分でもありますし、またアドバイスをもらいに行かないといけないです。
Q、川崎戦については、自身の動きも含めて、チーム全体としてやるべきことが明確になって、みんなのベクトルが合っているように見えました。
A、ピッチの中でも同じように感じていました。川崎という優勝を争い続けるような相手を圧倒している感覚もありました。特に前半は、相手に許したシュートは失点した時の一本だけというぐらいシャットアウトできました。逆に、ウチはシュートを何本も打っていて、それを決め切るという決定力はもちろん大事ではありますが、それくらい圧倒していたという感覚はピッチの中でも感じていました。
その要因が何かを考えた時に、自分たちがボールを持って主導権を握るということも大事ではありますが、ダラダラとボールを繋ぐことが目的ではなくて、常にゴールから逆算してビルドアップするように意識していたことが大きかったと思います。その矢印もチーム内で合っているし、一番は強度の高さがすごく上がってきているところです。攻守の切り替えのスピードや、相手より走るスプリント回数、球際の強さなど、そこは川崎戦の勝因でした。おそらく外から見ていてもそうだと思うし、ピッチ内でやっている選手たちも、その収穫はあったと思っています。
Q、その強度が高くプレーできるのは、ピッチの中で声がけして求め合っているからですか。
A、もちろん練習から強度を高くプレーしているのですが、選手同士が求め合うというよりも、試合ではどんどん連鎖していきます。誰かがプレッシャーに行ったら他の人も必ず連動してついていけていますし、同じように強度の高さの連動も起こっているのかな、と。炎の連鎖ってやつです。情熱が連鎖していって、チーム全体の強度が高まる状態にあると思います。
Q、手応えを得た試合を受けて、柏レイソル戦を迎えます。昨シーズンは相手の流動性や連動性に苦しんだ印象です。
A、自分たちからのアクションという意味では、もちろん守備の部分であれば、引かずにハイプレスをかけていきたいところですし、練習でもイメージしています。もしハイプレスで引っ掛けることができれば、絶対にチャンスになります。スペースはあるし、そこをまず狙っていくことです。もし剥がされたとしても、そこから戻ってブロックを敷くこともできています。どちらを選択するにしても、みんなが自信を持ってできているところがあるので、そこは相手の攻撃に対してすごく柔軟に戦えると思います。
柏は流動性もすごいし、昨シーズンも良い成績でリーグ戦を終えています。今シーズンは開幕から3連敗していますが、やりたいサッカーが明確で、もう2、3シーズンぐらい積み上げてきたような成熟度です。洗練されている相手ですが、自分たちも今調子が良いからといって油断することはないですし、過信や慢心もありません。まず自分たちがやるべきことをしっかりと把握しながら、強度をしっかり持ってやっていきたいと思います。
キム スンギュ選手

Q、これまで3試合連続で失点が続いています。無失点で勝利するために必要なことはどのようなことでしょうか。
A、まだ無失点の試合がないことは、個人的には残念です。ディフェンスの選手とは毎試合無失点で試合を終えるための準備をしていますし、毎試合ごとに反省点などを細かく話して改善するための準備を進めています。順調に進んでいる感覚はあるので、あとは結果に結びつけたいです。
Q、柏レイソルの印象を教えてください。
A、柏はボールを保持しつつ、スペースを有効的に使うために質の高い動きを連続して行う印象があります。個人戦術だけではなく、チーム全体が規則正しく連携したプレーをしてきます。質の高いプレーにプラスして、一生懸命に走るチームなので、質でも戦う気持ちでも絶対に負けてはいけないと思っています。
Q、柏に勝つために重要なポイントはどこだと思いますか。
A、柏はボールを保持するチームで、技術の高い選手も多くいます。そのため、相手がボールを持っている時は、チーム全体が組織的にしっかり守る必要があります。東京には前線に良い選手が多くいるので、得点してくれると信じています。ゴールキーパーの僕としては、失点しなければ絶対に勝てると思っています。ミーティングでも柏から得点をとるために必要な情報はチーム全員に共有されているので、その部分をしっかりと表現することができれば勝てると思います。
Q、4連勝するために必要なことはどのようなことでしょうか。
A、3連勝中なので選手たちは自信があると思います。ですが、それに慢心することなく、こういう時こそ自分たちのやりたいサッカーに真摯に向き合い、その実現のためにこれまで私たちがやってきたことにあらためてしっかりと向き合う必要があります。これまでの試合よりも勝つための準備を一生懸命したいと思います。



