COLUMN 2026.2.04

PLAYERS FILE 2026
OGASHIWA TSUYOSHI

奮い立たせてくれた横断幕
必ず復活して恩返しを

FW 11 小柏剛

2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。

大きな期待を集めながら度重なる怪我に悩まされてきた小柏剛。2025シーズンは左肩を傷め、復帰戦で右肩を負傷してしまうなど不運に見舞われた。現在も復帰に向けて懸命のリハビリに取り組む彼の支えとなってきたのが、スタジアムに掲げ続けている横断幕だった。ファン・サポーターのメッセージをしっかりと受け取り、苦しみながらも前を向こうとする背番号11の想いに迫った。


フーッと長い息を吐き出し、それを飲み込む。その繰り返しの日々を送ってきた、小柏剛は自分自身に目を向けた。

2024シーズン開幕前、大きな期待を背負って青赤のユニフォームに袖を通した。だが、度重なる負傷で加入1シーズン目は公式戦12試合出場。その悔しさを晴らそうと臨んだ昨シーズン、彼を待っていたのはさらなる試練だった。

「全試合出場するつもりでシーズンに入った。移籍1シーズン目の悔しさを晴らそうと思っていたのに、フタを開けてみたら、それ以上に苦しいシーズンになってしまった」

昨シーズンは左右両肩の負傷を含めた度重なる怪我の連続で、プロ入り後の自身ワーストとなる公式戦4試合出場にとどまった。ため息の深さも長さも増したことだろう。それでも奮起して顔を上げた。そうさせてくれたのは、どんな時もスタジアムに掲げられていた「何度でも待ってるぞ 小柏剛」の横断幕だったという。

「自分自身にガッカリしたし、ファン・サポーターの人たちにもそう思わせたシーズンになってしまった。申し訳ない気持ちがありながら、それでも横断幕を出してもらえたことで『また頑張ろう』という気持ちになった。どんなに辛い時期があっても、前を向いてやるしかない。そこは本当に感謝しているし、だからこそ恩返しがしたい」

復活ロードを一歩ずつ進んでいく。その道程で多くを望まなくなった。今シーズンは長倉幹樹とマルセロ ヒアンが完全移籍に移行し、仲川輝人、佐藤恵允に加えて鼻息荒い若手たちとの定位置争いが待っている。だが、「情けない話ですけど、その段階にいない」と言って首を横に振る。

「まずは自分に目を向けること。周りと比べるのは、ピッチに立った後でいい。北海道コンサドーレ札幌時代も怪我をしがちだったけど、比にならないくらい多い。ちょっといろいろなことを考えてしまう」

小柏はそうやって塞ぎ込みそうになる気持ちを「誰かのせいにしても進まない」と振り払い、自身と向き合うことを決めた。

「自分のできることを精一杯やるしかないと思っている。自分に目を向けるしかない。何かのせいにしたくなるけど、自分のやるべきことに集中したい。正直、周りとは違うかもしれない。まずは怪我との戦いだと思っているので、それを克服して試合に出ている姿を見せたいし、そこに立つからにはチームの勝利のために貢献したい。そのための準備をしたい」

自分に多くを期待していないのかもしれない。ただ、突き動かすエネルギーがある。背中を押してくれたファン・サポーターのために、味の素スタジアムのピッチをめざす。

そう決めた男の目には迷いはなかった。

(文中敬称略)

Text by 馬場 康平(フリーライター)