「何かを起こす選手になりたい」
“自分色”でチームの中心選手へ
FW 28 野澤零温
2026シーズンの明治安田J1百年構想リーグに臨む全青赤戦士を紹介する『PLAYERS FILE 2026』。果たしてハーフシーズンの特別大会を控えた選手たちはどんな想いを抱き、いかなる覚悟で一年に臨もうとしているのだろうか。
育成型期限付き移籍を繰り返してきた野澤零温にとって、2025シーズンはようやく自らの立ち位置を確立することができた一年となった。プレースタイルが認められて出場機会を増やしたなかで、本当の意味でチームの中心となるために──。背番号28が自分らしさや目に見える結果を出していくことへ想いを募らせる。

これまで育成型期限付き移籍を繰り返してきた野澤零温にとって、2025シーズンがFC東京に真の意味で定着するシーズンになったことは間違いない。707分間のリーグ戦出場時間は松本山雅FCに半年間在籍していた2023シーズンを上回る過去最長。青赤で1ゴール1アシストをマークし、その1得点はJ1リーグ残留へと大きく前進する契機となった2025明治安田J1リーグ第15節の横浜F・マリノス戦で決めた先制ゴールだ。日産スタジアムで印象に残る大きな仕事をこなしたのち、7月以降の試合では過密日程の連戦を除いてベンチから外れたことはなかった。
もちろん餓えた狼は満足などしていない。「まだまだ足りなかった。もっと数字も残せたはずですし、もっと試合に出ることができたはずだし、勝利に貢献できる場面はもっとありました」と、渇望する気持ちを露わにする。
時にキッカーを務め、大きな展開を司るプレーメーカーとして良質のラストパスを送り、攻守にハードワークを見せた。フォワードの域を超え、フットボーラーとしての進化を遂げたシーズンにもなった。しかし、その一方でそこが彼の成長にフタをした可能性もある。
「やれることの幅が広がったという実感もあります。少しずつ成長を感じているのも、もちろん。でも、それにとらわれすぎて、自分の特長や武器を出し切れなかった」
松橋監督の求めるものに応えてチームに貢献し、公式戦に出場するための条件を充たす。その姿勢が自分の立ち位置を確立することにつながった。ただ、チームによく馴染み、機能するがゆえに、自分の色を出し切れなかったという悔いが残っている。その反省を胸に、野澤は年を越した。
「なぜ自分が試合に起用されているのかと言えば、自分にしかない武器があるからこそ。そこを出していかなければいけない。東京へ戻ってきた選手も、新しく加入してきた選手もいるし、より競争が激しくなっているなかで生き残っていくためには数字も必要。チームに馴染むことに関しては、昨シーズンから少しずつつかみ始めているので、そこに自分の色を混ぜて、どんどん自分色にしていくことが本当に大事になってくる」
自ら広言するキャッチコピーは『笑顔のストライカー』。起用されるポジションがウイングであろうがフォワードであろうが、よりゴールへ向かう姿勢を明確にすることが新シーズンのテーマだ。
「僕が出てきたら絶対に何かが起きる、そういう選手になれば東京の中心にもなる」と自らに期待を込める。かつてFC東京U-18のエースだった男がトップの中核へ──。この物語を背番号28が完遂させる日は、そう遠い未来のことではないのかもしれない。
(文中敬称略)
Text by 後藤 勝(フリーライター)

