国内最高の競技場をジャック!?
2002年ワールドカップ決勝の会場に決定した「横浜国際競技場」。7万人収容という、あまりにも巨大な建造物は、その圧倒的な大きさだけでなく、最先端の技術が結集したハイテク競技場であり、日本を代表するに相応しい雰囲気を醸し出していた。ナビスコカップ準々決勝、対横浜F・マリノス戦の第1戦は、この国内最高の競技場が舞台となった。
この最高のシチュエーションに興奮したのは選手だけではなかった。この日東京の”ゴール裏”に陣取った約1千名の大応援団は、試合開始前から最高潮の盛り上がりを見せる。7万人の競技場で約1千名、さらに当然ながらホームチームサポーターには数で負けてはいたものの、そこはセンスとアイディアで応戦。独特の替え歌を連発・熱唱し、敵を圧倒、会場をジャックした。
秘策?それとも奇策?
日本代表選手を数多く抱え、国内有数の”タレント集団”として、今季J1の優勝候補にあげられていた横浜F・マリノス。この日の先発メンバーだけを見ても、先の南米選手権に出場した日本代表のGK川口、DF井原、MF三浦、FW城、五輪代表のMF中村、そして韓国代表のMF柳...と、キラ星の如くスター選手が揃っている。対する東京は、中心選手のMF由紀彦、DF古邊・梅山を負傷で欠き、苦しい台所事情の中、秘策ともとれる思いきったメンバーで対抗した。攻撃的MFには今季初先発の和田、5/9以来10試合ぶりの先発となる小林、そして5/16以来9試合ぶりの先発となる鏑木は初のMFとして出場、守備的MFにはケガから復帰し5/23以来8試合ぶりの先発となるアウミール、DFには中央に今季初先発の山尾を大抜擢...などなど、奇策ともとれる大胆な選手起用となった。
エッ、ウソ!開始3分で2点先制!?
こんな展開は誰が予想したであろうか、試合は開始早々動く。東京は中盤でリズミカルにボールを回した後、アマラオがドリブルで仕掛け、左の小林へ。小林は得意のドリブルに入ろうとしたところを激しいチャージで倒された。が、次の瞬間、マリノスDFがもたついてる間に小林が前方の鏑木へ絶妙のパス。鏑木は豪快にボレーシュートを決め、開始1分という今季最短時間で先制点を奪ってしまった。本番から遠ざかっていたマリノスと、つい3日前にも本番をこなしている東京との”ゲーム勘”の違いもあるが、それ以上に小林の判断はJ1選手に勝っていた。
東京の勢いはこれで終わらなかった。その後もパスワークでマリノスを圧倒した東京は、3分、アウミール・アマラオとつなぎ、オフサイドラインぎりぎりで右サイドに飛び出した和田へ決定的なパスが通る。和田は爆発的なスピードでゴールに突進し、強シュート。マリノスGK川口がかろうじて弾いたボールを走り込んだ小林が豪快に蹴り込み、あっという間に2点を先制してしまった。
"鉄壁のディフェンス”冴える!
「このままマリノスが終わるわけがないだろう...」。誰もがマリノスの猛反撃を予想した。試合はこの後落ち着きを取り戻し、レベルの高い攻防が繰り広げられた。
マリノスは三浦・中村が中盤を作り、城をポストにリズムをつかもうとする。時折、中村から東京DFの裏へ飛び出す柳や上野への正確なパスで崩されるが、シュートはGK鈴木がファインセーブを連発して防いだ。エース・城に対しては、初先発の山尾が猛チャージ。城にほとんど前を向かせなかったハードなディフェンスは、かつて名古屋に在籍し、昨年まで甲府の中心選手として活躍した男の実力を証明した。中盤のディフェンスは浅利やアウミールが豊富な運動量で応対。中村・柳らの入ってくる危険地帯を潰していた。また、左サイドの突破を得意とする三浦に対しては、右サイドバックに入った小峯が応対。国際的なスピードを誇る三浦との1対1の場面でも、小峯は脚力で負けておらず、仕事をさせなかった。攻撃では、アウミール、アマラオを中心にマリノスを凌駕するパスワークで中盤を支配、サイドからはスピードのある鏑木、和田が、今季最高の積極的なプレーで突進。そのスピードはJ1と十分戦えることを証明し、ゴールチャンスにつながるセンタリングを上げた。
鏑木の駄目押しゴールで試合を決める!
32分、攻め込まれた東京は、ボールをカットし左サイドの前線に残っているアウミールにパス。アウミールはマークにきた選手を芸術的なヒールキックで外し、タイミング良く中央へ走り込んだ鏑木へ絶妙のスルーパス。鏑木はGKが出てきたところを冷静に外して駄目押しとなる3点目をゲットした。
後半に入っても、一進一退の攻防が続く。マリノスは、後半から入ったFWバウベルにボールを集めチャンスを作った。が、東京も最後のところで体を張り、シュートを防ぐ。攻撃では、前半から鋭いドリブルで攻撃を仕掛けた藤山が後半に入ってもますます鋭い動きを見せ、何度もチャンスを演出。特にインターセプトからのスピードに乗った攻撃参加は、マリノス守備陣を混乱させた。
終盤はマリノスに押し込まれる場面が続いたが、全員が高い守備意識で応戦、結局試合はこのまま東京が逃げ切り、予想もしなかった大差で準々決勝第1戦をものにした。次は24日(土)19:00、江戸川にマリノスを迎える。
<大熊監督コメント>攻撃面では、狙い通り相手が出てきたところの裏を突けたことが結果につながった。また失点0は今後のリーグ戦にもつながるし、満足している。
24日も今後につながるような戦いをしたい。
|