平常心で臨むナビスコカップファイナル!
ナビスコ杯の決勝戦が開催、いよいよ国立競技場にてキックオフを迎えることとなった。5シーズンぶりに立つ決勝の舞台、そして今季ここまでの集大成ともいえる大一番。しかしながら、城福監督以下選手たちは一様に「今日までに積み上げてきたものを100パーセント出し切ることだけしか考えていない」と話し、いつもどおりの準備をして臨む心積もりだ。
対する川崎は、リーグ戦では現在首位。リーグ前節広島戦では7対0で大勝し、絶好調といえるだろう。またリーグでの総得点も57とダントツの1位。ご存知のようにFWジュニーニョ、鄭、レナチーニョの攻撃力は大いに脅威だ。決勝を前にした周囲の前評判も川崎のほうが高く、同時に今リーグでの2度の対戦では、ともに逆転負けを喫した相手でもある。
城福監督も「川崎は一人ひとりの質が高く、日本を代表するすばらしいチーム。リーグ戦では万全の準備をして臨んだが、悔しい負け方をした」と省みる。しかし「敗戦には必ず理由があり、足りないものがあったはず。それを踏まえて出た課題と、さらなる積み上げに臨んできた。この大舞台で川崎と対戦することは幸せであり、我々の進化を証明する格好の機会になる」とあらためて決意を固めていた。
残念ながら茂庭、石川らの離脱に加え、右肩を負傷した長友もベンチスタートに。右サイドバックは椋原が務め、徳永が左に回る布陣でキックオフに臨むこととなった。ここまで多くのアクシデントがあったが、今日は東京のサッカーがどれだけやれるか、それだけを焦点に、選手、監督以下スタッフ、そしてファン・サポーターのみなさんの力を集め、一丸となってカップを掴み取る!風が冷たく、寒さはあるものの、空は快晴。晴れ舞台にうってつけの天候のもと、試合は14時9分に川崎のキックオフでスタートした。
川崎に流れを掴みきらせず、米本の弾丸ミドルで先制!
試合の序盤はともに硬さがみられた。東京はパスをつないで攻めようとするがミスも多く、川崎に奪われてカウンターを受けるという展開に。4分には羽生→赤嶺のポストから、東京らしいパスワークで相手陣内にボールを運ぶ。中盤で梶山が相手DFを切り返そうとするが、そこで奪われてしまう。しかし川崎も前線にロングボールを送り、そこからの攻撃は単発で終わる場面が多かった。
6分には川崎FWジュニーニョ→ボランチの谷口がミドルを狙うが、権田が正面でがっちりキャッチ。その中でも最初に決定的なチャンスをつくったのは東京だった。8分に右スローインから羽生が中に持ち込み、パスをつないで右サイドに展開。米本がサイドを突破し、深い位置からクロスを送る。これがDFにあたってこぼれ、右エリアの平山がハーフボレーで合わせたがシュートはバーの上に…。
チャンスを逃すと、11分には川崎MF中村の縦パスから、エリア手前のFWレナチーニョが振り向きざまにシュート。クロスバーぎりぎりに枠に飛んだが、権田のファインセーブでCKに逃れる。19分にも川崎に決定機をつくられた。東京DFの裏へ川崎MF谷口に抜け出され、GKと1対1に。しかし権田の果敢な飛び出しでシュートはセーブ!そこからこぼれを拾われてゴール正面のFWジュニーニョにフリーでシュートを打たれたが、枠を外れ、再びピンチを免れた…。
川崎に流れを掴まれつつあったが、迎えた22分、平山のリターンを受けた米本が、相手陣内中盤の左寄りから果敢にミドルを放つ。無回転でゴールに向かったボールは、川崎GK川島の手をはじいてネットにイン! 米本の一撃で先制点を奪った!!その後も川崎にボールを支配され、なかなか東京らしいパスワークは見せられないでいたが、それでも守備では集中し自由にはプレーさせず。安定したディフェンスからリズムをつくり、前半の終盤にはパスワークからチャンスにつなげた。
38分には自陣右サイドの深い位置で粘り強く守り、椋原が前にパス。ここに赤嶺が追いつき、平山との連係から速攻を仕掛ける。平山が前に出したパスに、赤嶺が走り込み、ループ気味にゴール狙ったが…枠を外れ…。1点のリードで前半を終了することになったが、今季の多摩川クラシコではすべて東京が先制しているだけに、後半の戦いぶりに期待がかかることとなった。
見事なカウンターから追加点、5年ぶり2度目の戴冠!!
後半の序盤は東京がペースを握った。46分には自陣からつないで、左の赤嶺が右の鈴木にサイドチェンジ。鈴木は右エリアから果敢にゴールを狙い、GKセーブからCKを奪う。この鈴木の右CKから粘り強くチャンスを狙い、最後はこぼれに詰めた羽生がミドル。しかし枠を捉えることはできなかった。50分には梶山のサイドチェンジから、徳永がアーリークロス。ファーポストぎりぎりの赤嶺がヘッドを放ったが、角度がなくGKにキャッチされた。
だが徐々に川崎の鋭いカウンターをくらうことに。57分には東京DFの裏にフワリとしたボールを出され、川崎FW鄭が権田と1対1になるが、しかしここでも権田の好セーブでピンチを逃れる。それでも同点ゴールを狙って勢いを増す川崎。東京は押し込まれる展開となるが、権田を中心に集中した守備で守り、迎えた59分には自陣からの速攻を仕掛けた。羽生のパスから、鈴木が左サイドを疾走。タイミングと相手DFをよく見極めてファーにクロスを送ると、平山がヘッドでGOAL!! 見事なカウンターで2点目を奪った!
その後、猛反撃を仕掛けてくる川崎に対して、60分には赤嶺に代えて長友を中盤に投入、鈴木がFWに。71分には川崎がFWジュニーニョのドリブルを起点にパスを回し、最後はMF中村が精度の高いミドルを放つが、権田が左下でセーブ! これを守り切ると、今度は東京が鋭いカウンターを仕掛けるという展開に。74分に椋原のアーリークロスに合わせて長友が前線に抜け出し、GKと1対1に! ここでGKも抜いてビッグチャンスをつくったが、シュートは素早く戻った川崎DFに阻まれた…。
74分には羽生に代えて平松を右MFに投入。1点を返そうと猛反撃を仕掛ける川崎に押し込まれるが、選手交代を使って落ち着いて対応。86分には鈴木に代わって佐原を入れて5バックにし、守りを固める。それでも川崎の猛攻にさらされる時間が続いたが、全員が奮闘し、粘り強さと高い集中力を発揮した。
4分のロスタイムの中では、梶山の前線へのパスに合わせて長友が猛ダッシュで抜け出し、再びGKと1対1のシーンをつくったが、セーブに阻まれ…3点目こそ奪うことはできなかったが、高い守備意識で川崎の猛反撃をしのぎ切り、無失点でタイムアップ! 東京らしいサッカーができなかった時間もあったが、川崎の反撃に常に臨機応変に対応し、試合運びという点では完璧の2対0で終了。5年ぶり2度目のナビスコカップタイトルを全員の力でもぎ取った!!
なお、大会MVP賞は米本が獲得、ニューヒーロー賞とともにダブル受賞の運びとなった。
【選手コメント】《米本》「流れが悪かったので、シュートを打って引き寄せたかった。一本打てば流れが傾くかなと思った。あの場面で打ったことは良かったが、まさかこういう舞台で決められると思っていなかったので、決まった瞬間は頭が真っ白になった。守備では、川崎MF中村選手からいいパスが出るので、しっかりと寄せていいパスを出させないように気を付けた。川崎のすごい攻撃陣を失点ゼロに抑えたことは自信に繋がる」《平山》「ゴールは、鈴木選手からすごくいいボールが来て合わせるだけでよかった。相手の長所を抑えて、反対に僕たちのいいところを出して戦いたかった。うまくいかない時間もあったけれど、冷静に戦った。リーグ戦では今季川崎に2敗していたので、ここで勝てて本当にうれしい。リーグや天皇杯でもタイトルを狙えるように練習から頑張っていきたい」
【城福監督の会見要旨】「戦前の予想で『東京は苦しいであろう』と言われていたのは、フェアな評価だったと思う。ケガの状況や選手層の厚さでは、間違いなく川崎のほうに分があった。ただ、決勝に至るまでも我々は全員の力で勝星を積んできた。今日ピッチに立てなかった選手、ケガの選手、あるいはベンチに入れなかった選手の無念さが力となり、ピッチに立った者は、その分の思いを背負って戦ってくれた。まさに全員で勝ち取った勝利だった。
ファン・サポーターの方たちもこの瞬間を待ちわびていたことだろう。我々が腰を引かず、真っ向から川崎と戦って勝利を得られたことは何より自信になるし、リーグ戦で2敗した課題に向き合いながら、やり続けてきた証明ができた。今日のこの優勝をきっかけに、さらにチームがステップアップできればいいし、そうしなければいけないと強く思っている。
今日は両チームのサポーター=川崎サポーター、東京のサポーターを含め、みなさん全員の力によって、素晴らしい雰囲気のもとで決勝を戦えた。それが嬉しかったし、この舞台で選手、スタッフとともに戦えたことを誇りに思う。みなさんの熱いご声援、本当にありがとうございました」
【川崎・関塚監督の会見要旨】「この大舞台でタイトルに手が届かず残念。多くのサポーターのみなさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。先制点を奪われたあとの落ち着きという点や、自分たちのサッカーをしっかりと、いかに90分できるかという点で、我々の弱さが出てしまったかと思う。もっとシンプルに、サイドからボールを動かしていけばいいところだが、強引な形が多くなり、最後のところで崩せなかった。
前半、落ち着いてプレーしたときには、シュートレンジまで持っていくことができていた。そこでハーフタイムには、サイドでトライアングルを作りながら、単純に前に送るのではなく、一つ飛ばした効果的なパスなどを心掛けていこうと指示した。また、サイドからえぐることでセットプレーのチャンスも増えるので、そこで得点に結びつけていこうと話した。そのあたりをチームとして立て直していかなければいけない。もともと力のある選手がいるだけに、大舞台になるほどこういう心理状態になる。しっかりとチームとしての形を作っていかなければ。東京には本当におめでとうという気持ちです」
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